診療案内

インソール外来

インソール作成 診療日

毎月第1・3水曜日 午前9:00〜13:00

  • インソール作成には、事前に医師の診察およびレントゲン検査が必要です。
  • インソール外来は予約制です。ご希望の方は、前もってお問い合わせください。

インソールとは

インソールとは、”足を支えるための靴の中敷き”のことです。

足は、体を支える土台の役割を担うため、「立つ」・「歩く」・「走る」等で、反復的に衝撃を受けています。そのため、一度でも足の構造(アーチ)が崩れてしまうと、足趾の変形や歪みにより様々な症状が生じ、足の変形の進行度によっては手術が必要になることもあります。

当院のインソール外来では、インソールによって崩れた足構造を矯正することで症状を改善し、患者様それぞれのQuality of Life(生活の質)の向上を図ることを目的としています。

なぜ足が痛くなるのか

足や膝の痛みは、足アーチ構造の崩れにより荷重された応力が局所に集中することで生じます。

足のアーチ構造は、多数の骨・靭帯が連結することでつくられ、荷重された応力を分散する機能があります。しかし、一度でも足アーチ構造が崩れると、適正な応力分散機能が破綻し、本来の応力分布とは異なった生体力学負荷(メカニカルストレス)が発生するため、各部位に痛みが生じます。よく知られている「外反母趾」や「扁平足」は、この代表的な疾患です。

足アーチ構造の崩れの原因には、大きく分けて2つの要因が報告されています。

 

1つ目は、”関節の緩さ”や”筋力の弱化”、”もともとの足構造”など、もともとの身体特性上の要因です(内的要因)。生まれつき関節がゆるい方は、小・中学生など若年層で発症しやすいため、内的要因による影響が強い可能性があります。

 

2つ目は、”歩き方”や”歩行量”、”靴の種類”などの生活環境要因です(外的要因)。このタイプの方は、歩行量が多かったり、過体重などにより、経年的に足アーチ構造へ反復的なストレスが負荷されることにより発症することがあります。

この中でも、「内的要因」と「外的要因」の両面から影響を受けるパターンでは、足病変発症リスクが最も高く、注意が必要です。

当院のインソール外来

当院のインソール外来では、患者様、お一人おひとりの症状や病態に合わせて、医師・理学療法士・義肢装具士が連携し、最適な治療法を提案します。

レントゲン情報、足の機能評価情報をもとにインソール作成の必要性を判断するため、ご希望された患者様の中には、理学療法士によるリハビリテーションのみで対応させていただくケースもあります。また靴の選定方法・履き方、足の機能維持のためのリハビリ指導を含め、インソール作成前から作成後まで包括的にフォローアップします。もちろん作成後のトラブルにも対応可能です。

適応となる症状の代表例

  • 外反母趾
  • 内反小趾
  • 扁平足
  • 変形性足関節症
  • 変形性膝関節症
  • 有痛性外脛骨
  • 足底筋膜炎
  • モートン病
  • 足根管症候群
  • 足根洞症候群
  • 足趾の付け根の痛み
    (中足骨痛症)
  • 後脛骨筋機能不全
  • 腓骨筋腱炎
  • アキレス腱炎 など

外反母趾や扁平足のような目に見えるはっきりとした変形がなくても局所のストレスが慢性的にかかり続けることで痛みが生じることがあります。そのような場合でも精査・機能評価をすることで原因を明確にすることが可能です。足の痛みだけでなく、膝痛や股関節痛などに悩まれている方もぜひご相談ください。

扁平足

概要

扁平足とは、足の病気の一つであり、多くの人に認められますが、症状は様々です。本来、足には内側縦アーチ、横アーチというアーチ構造があり、体を支えるだけでなく、衝撃吸収や蹴り出しに貢献しています。扁平足はこのアーチ構造が破綻している状態になります(土踏まずがない・特に内側縦アーチが無くなっている状態)。

アーチ構造の崩れにより足は変形が進みやすくなり、多くの症状の根源となります。足は内側縦アーチの崩れと連動して横アーチも崩れていく構造の為、扁平足の影響は指先を含む足全体へ波及していきます。関節が圧迫されたり、捻れたりすることで関節に炎症を起こすことや骨の配列(アライメント)が歪む事で足裏の胼胝や魚の目などの皮膚症状も現れてきます。

扁平足の症状

【扁平足が原因で起こりうる変形・皮膚症状の代表】

  • 外反母趾
  • 強剛母趾
  • 開張足
  • ハンマートウなどの足趾の変形
  • リスフラン関節炎
  • 中足骨頭部痛
  • モートン病
  • 足根洞症候群
  • 足根管症候群
  • 胼胝・魚の目 
  • 陥入爪 等

アーチが崩れると足部周囲の筋肉が伸長されやすくなり、筋肉・腱の障害を引き起こしやすい状態になります。さらには足の構造が破綻することで代償的に筋肉が活動しなくてはならなくなりふくらはぎの筋肉の慢性的な疲労や緊張が現れてきます。スポーツ場面では怪我だけでなく、パフォーマンスにも悪影響を及ぼし、快適に行えない状況になりやすいです。

【扁平足が原因で起こりうる筋肉・腱障害の代表】

  • 足底腱膜炎
  • 後脛骨筋腱炎
  • 腓骨筋腱炎
  • 後脛骨筋機能不全(PTTD)
  • アキレス腱炎
  • 長母指屈筋腱炎 等

扁平足ではこのようないくつかの症状と併存している事が圧倒的に多く認めます。扁平足の人の全てに悪影響が出るわけではなく、生活に支障がない場合もあります。つまり扁平足に加えて、下記の要因が加わると症状が現れやすくなります。

【扁平足の症状を増悪させる要因】

  • 足首などの関節が硬い
  • 足の筋肉が弱い
  • 足の構造の特徴(足部が柔らかすぎる・硬すぎるなど)
  • 骨配列の問題
  • 履物の適合性が悪い
  • 過負荷(オーバーワーク)
  • 膝、股関節の機能障害  等

扁平足から生じる症状は多岐に渡るため、足部の症状を診断する上で、重要なポイントになります。人それぞれの足の問題を見つけ出し早期に対処することが大切となってきます。

扁平足の原因

アーチ(土踏まず)はその他の骨格と同様、成長していくにつれて形成されていきます。アーチが形成された後、筋力低下・体重負荷・生活習慣(履物や仕事)・出産(靭帯が緩む)などを期に扁平足は進行していきます。成人期扁平足は後天的な足の機能低下によって生じ、痛みなど様々な症状を引き起こします。

一方、幼児期扁平足は、先天的に関節の緩さや骨格の特徴を持つことが多く、比較的痛みを感じず無症状のまま経過することが多いとされます。骨格構造は遺伝することが知られており、親が扁平足の場合、子供の足にも注意が必要になります。

扁平足の診断

扁平足の診断はレントゲンや視診・触診などから判断していきます。

【レントゲン検査】

  • CPAの低下
  • 舟状骨高の低下 等

【視診・触診】

  • 立っている状態での踵の内倒れ(外反)の有無
  • 土踏まずの有無
  • Too many toes signの有無
  • 舟状骨の出っ張りの有無 等

扁平足は、成人期扁平足と幼児期扁平足に分類されます。

扁平足には、“縦アーチの低下”(図1、2)や“立ったとき複数の足指が外くるぶしからはみ出て見える(too many toes sign)”などの特徴が認められる場合があります。(図3)

図1 扁平足による縦アーチの低下

図2 レントゲン像/図3 too many toe sign

治療

扁平足の治療として一番有効なのは「崩れた土踏まずを支えていくこと」になります。方法としては運動療法やインソール等が有効です。後天的に生じた機能低下が原因であればまずはしっかりとリハビリを行うことで改善が見込める場合があります。本来アーチを支える筋肉は多数存在し、どの筋肉の機能不全がアーチ構造に影響を及ぼしているのか専門的な評価をした上で、運動方法を選択していくことが有効です。痛みが強い場合や、慢性的な症状が寛解しない場合など、症状に応じて医療用インソール(足底装具)を併用し、崩れたアーチ構造を足裏から矯正した状態で生活することで足の負担を軽減することが可能となります。また、靴の適合や履き方を見直すことも大切になってきます。

原因がよくわからず生じた足の痛みは足関節捻挫などの外傷が原因でない限り自然と良くなることはまずありません。一時的に良くなっても再度痛みが振り返します。

原因をはっきりさせてその原因に対するアプローチをすることが治療の第一歩ですので、痛みに悩まれている方はまずはご相談ください。

外反母趾

概要

外反母趾とは、親指(母趾)が小指側に「くの字に」変形し、親指の付け根が内側に突き出てくる病気です。(図1、2)

図1 外反母趾/図2 骨格の変形様式

変形の初期段階(軽度~中等度)では、関節炎を合併し、歩行などの運動時に母趾に痛みを生じます。進行するにつれ、母趾の付け根がさらに突出し、母指の内側に胼胝(ベンチ;タコ)や、靴に当たって刺激を受ける事で“バニオン(Bunion)”という皮下滑液包炎を生じ、発赤(赤み)や腫脹(はれ)を伴い痛みが増悪します。さらにその突出部には神経が通っているため、神経が圧迫されることでしびれが生じることもあります。特に足幅に合わない靴を履いている状態では圧迫が強くなり、痛みやしびれなどの症状が増悪するケースが多く見受けられます。

外反母趾の進行は母趾の機能を損うだけでなく、隣接する関節にも悪影響を及ぼします。母趾が変形すると適切な荷重を母趾が受けることができなくなり、荷重が第2趾(人差し指)の付け根に偏ります。その結果、第2趾に関節炎や胼胝などを生じてきます。さらに曲がった母趾先に偏った体重がかかりつづけることで巻き爪(陥入爪)が生じやすくなります。(図3)

図3 巻き爪のリスク

外反母趾は進行性の病気であり、母趾以外にも悪影響を及ぼしてくるので早期の対処が大切になります。

外反母趾の原因

外反母趾の原因は内的要因と外的要因に大別されます。外反母趾のように母趾が変形していく症状は母趾自体の原因ではなく“足全体の骨格構造“に原因がある事が多いです。

(1)内的要因

内的要因として最も多いのは扁平足など足の骨格構造に異常がある場合です。足には内側縦アーチ(土踏まず)と横アーチの構造があります。本来、アーチ構造は体重を支え、衝撃吸収や蹴り出しに貢献しています。しかし、アーチ構造が崩れてくると足の骨格に異常をきたしてきます。内側縦アーチの崩れと連動するように横アーチは崩れ、中足骨は扇状に広がり開張足を呈し、母趾中足骨頭が内側に突出してきます。このように扇状に足が崩れ易い足が外反母趾になりやすい足の形態と考えられています。その他に、母趾が第2趾より長い方、足が柔らかい(柔軟、関節弛緩)方、母趾の付け根の関節(中足骨頭)がレントゲンで見て丸い形をしていることも関与していると考えられています。

また、外反母趾になりやすい足の骨格や特徴は遺伝します。親が外反母趾の方は注意が必要です。

(2)外的要因

外反母趾の原因として有名なのがハイヒールなど先の尖った靴を履いていたことなどが挙げられます。これは外的要因の最大の要因の一つとされます。特にハイヒールは踵部分が高くなればなるほど前足部(指や指の付け根)にかかるストレスが増加すると言われています。(4.0cmで約1.5倍、9.0cmで約3倍)その結果、足の幅は横に広がろう(開張足)とします。しかしハイヒールは先端に行くほど細くなっているため指だけが外を向いてしまします。

また、靴の選び方、履き方の誤りが症状を増悪させる場合もあるので注意が必要です。特に多いのが、外反母趾が軽度の段階で突出部が当たって痛いからと普段よりも大きめのサイズの靴を購入する方が多くいます。さらに締め付けないように紐をしっかりと閉めないで靴を履いているため、歩く際足が靴の中で動いてしまい、靴との適合性が損なわれることで母趾含むつま先側の圧迫ストレスがより増強してしまうことも要因の一つとなります。

外反母趾の診断

外反母趾の診断にはレントゲン検査が有用です。母指の中足骨と基節骨の角度を外反母趾角(HV角)といい、外反母趾の重症度を診断する指標の1つになります。

HV角が20度以上になると外反母趾と診断され、HV角が20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。

母趾の関節炎の検査にはエコー検査(超音波画像診断)なども行うことがあります。

治療

外反母趾の治療としてはまずは内的要因と外的要因の原因となる部分を評価し、対応することが大切となります。治療の前には画像診断に加え、荷重時の足の崩れ、母趾の関節可動域、足部周囲の筋力など足の特徴をしっかり精査した上で治療方針を決定していくことが必要になります。

一般的に良いとされるセルフエクササイズも効果が保証されているのは軽傷の外反母趾のみです。変形が強くなった場合、逆に変形を 悪化させる原因にもなる可能性がありますのでまずは相談していただくことをお勧めします。

外反母趾の治療には運動療法(指の運動等)に加え、足構造の補正を目的としたインソールの使用を推奨します。運動療法には母趾だけでなく、アーチ部分や足首周囲の筋力や可動性を改善することにより除痛効果が期待できます。インソールを併用し、足部アーチの立体構造を支えることで、除痛や進行を予防することも可能です。また、履物(外的要因)に対しては適切な履物の指導、履き方の指導(生活指導)を行っていきます。このように個々の足の特徴に適した保存療法の選択をすることが大切です。

担当理学療法士

久保和也

執筆記事

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