リハビリテーション
上腕骨近位端骨折
概要(疫学、症状)
腕を構成する上腕骨が肩の部分で折れてしまう骨折です。全骨折の5%を占めるとされています。骨折部位により外科頸骨折や大結節骨折と呼称されることもあります。当骨折では肩から腕にかけての強い疼痛や肩の挙上制限などの症状がでます。着替えや洗髪動作は困難となります。場合によっては神経麻痺を合併し、腕の感覚がなくなったり、指先に力が入らなくなったりします。
原因
高齢者では骨粗鬆症を罹患している人の転倒、若年者では交通事故や高所からの転落など高負荷での外傷が大多数を占めます。
検査・診断
主にX線、CT検査により骨折の有無、および転位による変形の程度が診断されます。
治療
80%は転位が軽度で保存療法が適応となります。転位が大きい場合には手術が適応となります。受傷後は患部の安静のために三角巾などを用いて腕の重さを緩和し、腕の動きも制限します。
薬物療法
抗炎症薬(主にNSAIDs)を用いて、急性期の疼痛による不快を予防します。
リハビリテーション(非手術の場合)
骨折部の安定性に応じて、段階的に肩の運動を開始します。肩の運動に余裕が出てきたら洗髪や更衣などの応用動作の練習を行います。また、肩甲帯の運動は早期から開始します。
当院のプログラム(運動・装具等)の目安
リハビリテーション(手術後紹介の場合)
手術後の安定性、炎症に応じて、段階的に肩の運動を開始します。術創部の状態に応じて肩甲帯の運動を早期から開始します。手術医師の指示が優先されます。
当院のプログラム(運動・装具等)の目安
ADLでの注意点
受傷早期から生活で患手を使っていると、骨折部の骨がずれてしまうことがあります。特に受傷から3週間は患手を使わず、三角巾を使用して安静を保ってください。
肩関節は生活の中では意外にも動きの少ない関節です。肩関節の運動をする時期になったら、生活の中で患手を意識的に使うようにしてください。