リハビリテーション
腱板損傷
概要(疫学、症状)
腱板損傷は40歳以降の方に多くみられます。肩関節を動かすための腱板という組織に炎症が生じるため、肩の動きに障害や疼痛が生じます。動きは特に洗髪や着替えの動作に困難を自覚するほか、疼痛は肩周囲の炎症性の疼痛や腕の神経性の疼痛を認めます。腱板が完全に断裂してしまうと自然治癒の可能性は低くなります。
原因
肩甲骨側の筋肉と上腕骨とをつなぐ腱板というすじの損傷です。生活やスポーツ動作による繰り返しの負荷、交通外傷などによる肩関節の強打が原因で損傷が起こります。
検査・診断
主にMRI検査と動かしづらさの症状といった理学所見から診断されます。
治療
リハビリと薬物療法が実施されます。完全断裂を認め、かつその修復を望まれる方には他院紹介による手術を検討します。
薬物療法
抗炎症薬(主にNSAIDs)を用いた疼痛緩和を行います。
リハビリテーション
肩板を損傷した原因を骨格・生活習慣などから探索し、それらの改善を図ります。また、拘縮(組織が硬くなること)が生じて動かしづらくなった肩関節の可動域の改善を図ります。術後紹介の方の場合は、基本的に手術病院の指示に準じます。
当院のプログラム(運動・装具等)の目安(非手術の場合)
当院のプログラム(運動・装具等)の目安(術後紹介の場合)
ADLでの注意点
腱板の損傷は、主に腕を目線の高さより挙げた時や、勢いよく手をついたときに起こりやすいです。また、それは肩甲帯や胸背部の機能が低下していると特に生じやすくなります。そのため、普段から肩甲帯などの準備運動をこまめにやることと、腕を高く上げる動作などはゆっくりと行うように気を付けましょう。